礼文でオホーツク文化期の発掘続々

 礼文町香深井地区の「香深井1遺跡」で町が行う発掘調査事業が本年度、4年目を迎えた。7月には、海産物を加熱したとみられる直径1.5メートルの炉の跡が見つかるなど、貴重な遺跡、遺物が発掘されている。町はさらに調査を進める考えで「海との関わりが強いオホーツク文化期の生活が分かる遺跡をさらに見つけられれば」と話している。
 同遺跡は1968~72年に北大が初めて調査。その後、しばらく調査は行われなかったが、道道40号の改良工事に合わせ、道が文化財保護法に基づいて調査を再開した。実際の調査は、委託を受けた町が2020年度から3カ年計画で実施。新型コロナ禍などで作業が滞ったため、新たに本年度から5カ年の計画を策定し、引き続き発掘作業に当たっている。「1遺跡」の発掘は25年度で終え、26年度には同遺跡から南に約100メートル離れた「6遺跡」を発掘。27年度に報告書を作成する。
 「11遺跡」の約1500平方メートルのうち、発掘の対象は約800平方メートル。この4年間でネズミザメの鼻先の骨を削って作ったクマの像や、クジラやアシカの狩りに使う銛頭(もりがしら)など6~11世紀ごろのオホーツク、擦文文化の約3500点が出土した。
 本年度の発掘は、遺物が多いエリアという。本州で5,6世紀ごろに作られたとみられる須恵器が見つかり、島と本州との関わりを推察する材料になっている。また7月に見つかった炉の跡は、8世紀ごろとみられ、黒い炭が残っている大きな石が並んでいることから、海産物の加熱に使われたと推測されるという。
 道新ウェブより