高井さんを紹介

 今日は20年間、稚内市の子ども合唱団「エンジェルボイス」を2003年から20年間率いてきた高井早苗さんを紹介します。
 小中学生と高校生が中心の団員25人を指導し「音楽を通して故郷を大好きになってもらいたい」と語る笑顔は優しい。東京の専門学校を卒業して1969年、20歳で稚内中央小で音楽教師になった。合唱部を指導し、76年にはNHK全国学校音楽コンクール(Nコン)の全道大会で3位に入賞した。家庭の事情で教師を退職後、84年から同市内の中学校の合唱コンクールで審査委員長を務めるようになった。学校が荒れていた時代、反抗的だった生徒たちが毎年少しずつ真剣に歌に取り組むようになる姿を見てきた。「変われると信じることが大事。成長を見守れるのは幸せ」
 子どもに音楽の素晴らしさを伝える場所をつくろうと設立したのがエンジェルボイスだ。大人の合唱団も指導しながら、毎年発表会を開いてきた。学年や学校を問わず仲の良い団員たちを「小さな学校のよう」と見守る。不登校ぎみの子が「エンジェルなら行ける」と練習に来る。口べただった子が表現の楽しさを覚えて人と接するのが好きになる。東京の舞台で俳優になった卒業生もいる。
 月謝は練習会場費などに充て、指導はほぼボランティアだ。卒業生や保護者が指導や発表会の運営を手伝い、市民も寄付金で活動を支える。「稚内は風が強いし不便だけれど、あったかい人がたくさんいる。多くの人のおかげで続けられた」と感謝する。合唱団の末永い活動を願い、次の指導者の育成にも励む。74歳。
 道新ウェブより