修復進む稚内赤れんが通信所

 稚内市内恵北にある旧海軍大湊通信隊稚内分遣隊幕別送信所(通称・稚内赤れんが通信所)のB棟の屋根などの修復工事が終わった。保存運動に取り組む市民団体「稚内市歴史・まち研究会」がクラウドファンディングや地元の寄付で修繕費を集めた。同研究会は今後も修復に取り組む方針。
 B棟は木造平屋建て、面積475平方メートルで、中央にはシンボルの望楼がある。2011年の大雪で屋根が崩壊、れんがの壁にも亀裂が入り、望楼も傾いた。同研究会は昨年度、道内の地域づくりを支援する公益財団法人太陽財団(札幌)から助成金1千万円を受け、がれき撤去や、壁や望楼周辺の補強を行った。
 同研究会の地道な活動で、通信所の知名度は上がっている。見学者は年々増加しており、昨年は4日間の一般公開を含め約470人が訪れた。6月上旬には稚内衛生公社が初めてボランティアで草刈りを行った。同研究会は「活動に賛同してくれる人も増えてきた」と手応えを感じている。
 ただ、3棟のうちA棟は手つかず、B棟もがれきが散乱し、入れない部屋がある。両棟を完全に修復するには億単位の費用が必要になる見込。近所に住み、観光客に通信所を案内する同研究会の熊田要二副会長は「ここから真珠湾攻撃の暗号を中継して打電したことを次の世代に伝えないといけない。できれば全部元に戻したい」と話す。
 どうしんウェブより